とうとうこの日が来てしまったか。懐かしい4番レフト金本のコールもこれで最後。今シーズンがこのままずっと続いて欲しかった。この試合が終わらないで欲しかった。
球場でこの試合を見たかったなあ。あろうことかチケット発売日をうっかりわすれていた自分に腹が立って仕方ない。
先発は奪三振王まであと2つに迫った能見。初回に荒波、筒香から三振を奪って杉内に並び、この回で降板した。もう1つ取って単独受賞を狙えばよかったのに。タイトル狙いが見え見えだったから後ろめたい気持ちでもあったんか。
ともあれ、悩みながら投げた今シーズンだったが、2桁勝利と奪三振王を達成しておめでとう。来シーズンは絶対的エースとしての活躍を期待している。
2回からはメッセンジャーが登板。こちらも2桁勝利とあわよくば奪三振王を賭けての登板。三振はあまり取れなかったが、いつもながらの安定したピッチングで8イニングを2安打無四球無失点。打つ方でも、どうせ無援護なら自分で何とかするとばかりに、2回1死1・3塁の場面でレフトオーバーの2点タイムリーツーベースを放つ。投打の活躍で見事に10勝目をゲットした。お願いやから来期も契約してな。
ところで、8回に打順が回って来たときにそのまま打たせたが、なんか意味があったんかな。勝利投手の権利は持ってたんやから、金本に繋ぐために代打を送ってもよかったんちゃうの。金本まで4人もあったので無理かもしれないが、チームとしてそういう姿勢を見せてもらいたかった。演出が下手なんよね、和田監督は。
さて、この日の金本。第1打席は1回1死1・2塁。打点を稼ぐチャンスだったが、外のボールを引っ張ってファーストゴロ。金本のバットコントロールならレフト方向にちょこんと合わせるバッティングも出来たやろに、ここに至ってまだ最悪でも進塁打になるバッティングをするとは。
第2打席は3回1死ランナーなし。ここは高めのストレートを空振りの三振。
第3打席は6回先頭。外角高めの球を基本通りセンターへ弾き返した。膠着した試合でなんとか自ら出塁して点に繋げようとするバッティング。そして、意表を突いてセカンドへ盗塁を見せた。あんなバッティングが出来て、そして走れて、なんで引退するんや。このあと、新井のセンター前ヒットで一気にホームを狙うが、荒波からの好返球に阻まれタッチアウト。若い選手たちに「野球とはこうするんや」と見本を見せているようなプレーやった。この気持ちが伝わったか、続く良太のタイムリーで新井が還って追加点が取れた。
第4打席は7回2死1・3塁。打点を上げる最後のチャンスだったが、残念ながらキャッチャーフライに倒れ、打点で長嶋を抜くことは出来なかった。結局これが金本の最後の打席となった。
手を抜くことも手を抜いてもらうことも許さない、最後まで真剣に試合に取り組んでる姿を見て、改めて金本の偉大さを知った。三浦もライバルとして長く対戦してきたからこそ、金本のそういう気持ちが分かっていて、必死で打ち取りに行ったんやろなあ。
引退試合でライトへ大きなホームランを打って欲しかった。長嶋超えの打点も上げて欲しかった。どちらも叶わなかったが、フルスイングや激走、そしてチームバッティングと、これぞ金本という場面を満喫させてもらった。
最終回の守りでは涙を浮かべているように見えた。最後のバッター荒波のレフトフライを捕ってゲームセット。2005年の優勝の瞬間を思い出した。と、同時にこれで終わったという気持ちで複雑な気持ちになった。寂しい?悲しい?むなしい?何かよくわからない脱力感だった。
引退セレモニーの記事に続く。