アメリカとの決勝戦は、1点を争うピリピリした試合になった。最後はドラマチックなエンディングで、日本が14年振り3度目の優勝を決めた。
9回表ツーアウト。リードは僅か1点。マウンド上は大谷。バッターボックスには大谷の同僚で、過去3回もMVPに輝いたトラウト。カウント3−2から投げたスライダーに、トラウトのバットが空を切る。すると、大谷が雄叫びを上げながらグラブと帽子を投げた。日本が優勝した瞬間だった。
試合前から、最終回は大谷が締めくくるだろうと薄々感じていた。とは言っても、トラウトに打席が回るとは思いもよらなかった。ましてや、先頭バッターにヒットを打たれて打順がずれたのに、次のバッターを併殺に打ち取った事でトラウトが最後のバッターになったのは運命的なものを感じた。決勝戦の最後に相応しい演出。まるで誰かがシナリオを書いているかのようだった。
MVPは大谷が受賞。これも最初から決まっていたような気がする。大谷の投打に渡る活躍は素晴らしかったが、吉田正尚が何度も窮地を救った事を忘れてはいけない。
この試合の投手起用は、先発今永が2イニング。第二先発の戸郷が2イニング。中継ぎは高橋宏斗、伊藤大海、大勢が1イニングずつ投げた。そして8回にダルビッシュがセットアッパーとして登場。9回、クローザーに大谷を起用した。メジャーの2人に後ろ2イニングを任せたのは、日本のプロ野球ファンとMLBのファンに対する、ファンサービスだったのだろう。栗山監督は、前回優勝時にダルビッシュがしたように、大谷が最後を締めくくる見せたかったし、自分も見たかったのではないだろうか。
試合経過は、2回に先発の今永がターナーにソロホームランを打たれて先制を許す。しかし、直後に村上のソロホームランと満塁からヌートバーの内野ゴロで2点を取って逆転。4回には岡本のソロホームランで1点を追加した。
リードを2点に広げたとは言え、試合はまだ中盤なので心細い。それでもリリーフ陣がこのリードを守っていたが、8回にダルビッシュがシュワーバーから被弾。点差は1点に縮まった。そして、9回のマウンのに大谷が上がり、前述の通り、虎の子の1点を守り切った。
バリバリのメジャーリーガーが揃ったドリームチームと互角に戦えた。プロ野球のレベルも上がったものだ。一方で、これまでそれほど強くなかった国の代表も、今回はかなりレベルアップしていた。だから、試合を見るのに緊張感があり、勝ったときの喜びはひとしおだった。3年後のWBCは各国のレベルが今回より上がり、一段と白熱した大会になる事だろう。
おめでとう、侍ジャパン。